生成AIは投資をどう変えていくのか、BlackRockのレポートから学びます。
はじめに
ChatGPTをはじめとする生成AIが、世界中で盛り上がっています。 LLMをどう活用するか、という話題は私も大好きです。
では投資という文脈で、生成AIはどのように使われているのでしょうか。
BlackRockがレポートを出していたので、これを読みつつ、要点をまとめます。
原著が気になる方は、下記のオリジナル記事をご覧ください。
How AI is Transforming Investing | BlackRock
生成AIは投資をどう変えるのか - How AI is transforming investing
生成AIは急速に注目を集めている
生成AIは、近年急速な注目を集めています。
特に2022年末にOpenAIがChatGPTをリリースしてから、生成AIは専門家でない一般の方々からも大きな注目を浴びました。 ChatGPTは過去にない速度でユーザー数を伸ばし、リリースからわずか5日で100万人のユーザーが登録されています。
ChatGPTは、GPT (generative pre-trained transformer)という技術に基づく大規模言語モデル (LLM: large language model)です。 Transformerという深層学習アーキテクチャが採用されています。
ウェブサイト、書籍、学術論文、その他の公共データセット等々、大量のデータを使用して訓練されており、与えられた前の文脈テキストから、次に来る単語を予測するのが基本的な挙動です。 学習には膨大なデータが使われているので、広範な世界の知識と、推論の能力を持っています。
生成AIを投資に役立てる方法
過去数十年にわたって、自然言語処理の技術は投資に活用されてきました。
アナリストのレポートや企業の決算発表、ニュース記事など幅広い大量のテキストデータを効果的に分析することができれば、投資判断に役立てることができます。 例えば初期の頃は、テキストデータに含まれるネガティブ/ポジティブな単語の数を分析して市場の感情をスコア化し、投資の判断材料に利用されます。
時が経つにつれてテキスト分析手法や機械学習が進歩し、より正確な情報分析ができるようになりました。
そして今日では、GPTのようなTransformerベースのLLMによって、さらに高度なテキスト分析が可能です。
Transformerでは、各単語と他の単語との関係を考慮し、最も重要なポイントに注意を当てることで、より正確に文脈を理解することができます。
これらの技術を使ってテキスト分析能力をより向上させることができれば、投資判断材料としての信頼性も増します。
BlackRockでの生成AI活用事例
BlackRockでも、transformerベースのLLMモデルを独自に学習/fine-tuningして利用しているようです。
GPTが汎用の用途に対応できるのとは対照的に、BlackRockのLLMモデルは特定の投資に関するタスク実行に特化しています。 例えば、決算後の市場反応を予測するタスクでは、BlackRockのモデルがGPTを上回る結果を出しました。
まとめ
- GPTをはじめとするLLMは、急速に注目が高まっている
- LLMの高精度なテキストデータ分析結果は、投資判断材料として役立てることができる
- 投資に関する特定タスクに特化したLLMモデルは、予測モデルとしても高い精度を出した
個人的には、LLMをテキスト分析に活用するというのは頷ける一方、予測モデルとしても有用である、という話は、より詳しく聞いてみたいところだと感じました。
BrackRockのLLMモデルが具体的にどのようなデータで学習したのか、(検証ではなく)実運用でも高い予測精度が出たのか、気になります。